2007-10-03

アイヤ岬の嵐、に唸る

公務を終え、堀之内を歩く。
但し、ウォーキングではなく。

お目当ての、「国立ロシア美術館展」の鑑賞のため、である。

開催初日とあって、会場である県美術館は、来場者が引きも切らない盛況ぶりだ。
作品の前の人だかりの邪魔にならないよう、じっくり鑑賞する。

おおおおぉ。

いくら美術に不勉強な私でも、目の前の1つ1つの作品に対峙して、
それらが、いかに力があり価値があるか、十分すぎるほどに理解できた。

その中で。

何といっても圧巻は、イヴァン・アイヴォゾフスキー作、「アイヤ岬の嵐」。

海の難所であるクリミア半島のアイヤ岬にて座礁し、
荒れ狂う嵐の海、脱出する乗組員たち、難破船で最後まで戦う青年。

襲いかかる凄まじい自然の驚異に、決然と戦いを挑む人間たち。
そのドラマを通して、希望を失わない人間の強さと逞しさ、が胸に迫ってくる。

見る者に、汲めども尽きぬ勇気を与えてくれる、まさに偉大な作品、だ。

一巡しながら。

時系列を追っかけていくと、作風が次第に変化していくのがわかる。
古典主義からロマン主義、リアリズムへ。

日本でいうと、江戸時代から昭和のはじめまでの長きにわたる、
激動の、ロシアの息づかいが伝わってくる。

同展では、国立ロシア美術館に所蔵される約40万点のコレクションの内、
ロシアの黄金時代といわれる18~20世紀の、厳選された作品101点を紹介。

初めて日本に持ち込まれた作品ばかりであり、その邂逅は正に希少価値である。

鑑賞を終えて、会場を後にしながら。
ふと、道端に落ちた銀杏に足が止まったのは、自身の感性が刺激されたからか。

芸術の秋。
ぜひ、皆様にも、心の保養に訪れられることをお奨めしたい、と思う。


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