2017-07-31

7/31マンデー街頭「愛媛だけでない、労働力確保の問題」
















「皆様、おはようございます。
公明党・愛媛県議会議員の木村ほまれでございます。

 先週は出張のため2週間ぶりのご挨拶となります。早いもので7月も最終日となりました。明日から8月、1年で最も暑い季節を迎えます。熱中症など体調管理には十分お気をつけ頂き、猛暑・酷暑を元気にお過ごし頂ければと思います。

 さて、県議会では先週、常任委員会の県外視察が一斉に行われました。私が所属する経済企業委員会は、月~水の3日間、本県経済の発展に資するという観点から関東方面4ヵ所に出向き、調査を行いました。

 まず、埼玉県の川越市で「インバウンド施策」について、秩父市で「観光DMO」についてお話を伺いました。又、川口市の機械メーカーでは夢の新素材といわれるCNFの今後の普及に向けた課題について、東京都大田区では日本有数の“ものづくりのまち”の次世代戦略ついて調査を行いました。詳しくはブログに綴りましたのでぜひご覧頂きたいと思います。

 本日は、それらの視察を通して感じた労働力確保という問題について申し上げたいと思います。

 まず、今回伺ったのは関東方面、あるいは首都圏でしたが、そうした地域であっても本県同様、いわゆる少子高齢化と人口減少問題が深刻ということであります。

 今、わが国の既存産業の多くにおいて社員の高齢化やリタイヤが進み、数においても質においても十分補え切れていないという、いわゆる労働力不足、担い手問題が生じておりますが、これは一部の都会を除けばどの県も同様だということをあらためて痛感させられました。

 一般に、労働力とは生産年齢人口である15歳64歳を指しますが、今から約20年前の1995年はその数8700万人、現在は7700万人。1000万人減っているわけですから、どの業界であれ人手不足の感に覆われるのは当然といえます。

 しかし、問題なのは今後、さらなる深刻な事態が予想される点です。将来推計上、労働力の減少が向こう50年間続くことが既に確定しているからです。

 では、この労働力不足という問題を私達はどう乗り越えるのか。

 全国で絶対数が減り続けるわけですから、県外から確保するにも、どこかの県が足りればどこかの県が足らなくなるというゼロサムゲームとなり、抜本的な解決策とはなりません。では移民の受入れはどうかというと、アメリカやイギリスの動向を見ても、これが直ちに現実的な対策になるとも思えません。

 ここで重要だなと私が考えるのは生産性の向上、そして労働力の定義の見直し、この2点です。

 ご承知の通り、産性の向上については様々な指摘があります。その1つ、OECD加盟35カ国の昨年のデータによりますと、わが国の労働生産性は22位。全体の平均値以下です。

 国においても既にこの点に着目し、6月に打ち出された政府の骨太方針の副題を「人材への投資を通じた生産性向上」とし施策を体系化するなど意欲的で、私も大いに期待を寄せたいと思います。

 ただ、この生産性の向上につきましては企業や個人、地方の努力はもちろんですが、私はそれ以上に、ソサエティ5.0を見据えた産業構造の転換や、イノベーションによる新たな需要の創出、抜本的な働き方改革、あるいは海外成長市場を取り込む貿易の枠組みなど、次の日本をどういう国にしていくのかという国の決断にかかる部分が非常に大きいと思います。

 従いまして国会は、政局ではなく、そうした本題に切り込んだ活発な論戦をお願いしたいと思います。

 そして、労働力の定義の見直しについてであります。

 労働力、つまり生産年齢人口は15歳~64歳。15歳というのは中学卒業年齢、そこから65歳以上が高齢者とされてますからその手前の64歳まで、という区分です。

 この65歳以上を高齢者というふうに定義、区分したのは、今から約60年前、国連のレポートが最初と言われます。

 これは、当時わが国の平均寿命が男性63歳、女性67歳でありましたから、まず妥当な区分だったといえるでしょう。

 しかし現在、わが国の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳と、当時に比べ20年近く長くなりました。しかもあくまでも平均ですから、人生100年を生きる方々が今も増えており、今後ますます増えてくるでしょう。

 そうなりますと、65歳は果たして高齢者と言えるかどうか。実際、私の周りの65歳くらいの方を見ましても概ねお元気ですし、お年寄りと呼ぶには少なからず違和感を感じます。

 その意味で、本年1月に日本老年学会が行った“高齢者の定義を75歳以上に見直すべき”という提言は、私は将来に向け投じられた極めて重要な一石と考えます。

 高齢者を年齢で一括りにするのはどうか、75歳という線引きは妥当かという問題はありますものの、仮に働きたい方が働ける環境があるとすればどうでしょう。

 現在、65歳~74歳の人口は約1700万人です。20年後は1600万人、50年後でも1100万人と、この世代は長期にわたり安定的なボリュームで推移すると見られています

 労働力としての可能性には非常に大きなものがありますし、健康でいる限り何らかの社会貢献を望む方も多いのではないかと思います。

 加えて、女性の活躍です。

 “仕事か、家庭か”という、女性にとって二者択一の時代を速やかに終わらせ、結婚しても、出産しても、子育てを終えてからでも、本人の意志と能力により仕事が持続できる、多様な労働を選択できる、そういう社会に変革していかねばなりません。

 つまり、労働力の定義を、今の実態とこれからの時代に合わせた形で見直し、(今は高齢者とされている)60代、70代の方々や、幅広い女性層が、労働力の重要な一角として明確に位置づけられる社会を実現すること、これが、労働力不足克服に向けて私が重要と考える2つめのポイントです。

 視察ではもう1つ、人口減少により国内需要が縮小する見通しの中で、例えば観光、ものづくり産業など、やはり海外市場に成長の活路を見出そうとする戦略も、地域共通の方向性であると実感いたしました。

 今回の視察成果を本県経済の発展に結びつけられますよう、しっかり取り組んでまいりたいと思います。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」

2017-07-26

経済企業委員会県外視察 ④東京都大田区












視察最終日の本日は、日本有数の“ものづくりのまち”東京都大田区を訪問。公益社団法人大田区産業振興協会にて「ものづくり企業への支援」について調査を行いました。

初めに、区の産業基盤である産業振興協会から組織の役割と取組み、及び「ものづくり産業イノベーション創造緊急推進指針2020」について説明がありましたが、さすが大田区!と感服しました。

大田区といえば、下町のボブスレー、下町ロケットなど、まず“下町”のイメージが浮かびますが、工場と商業施設と住宅が入り混じり共存している町並みを見るにつけ、また、昼夜人口がほぼ同じというデータからも、明らかに23区内で異彩を放つ正に下町だなと感じました。

現在、区内の工場数はピークの9000社から3000社あまりまで減少し、その半数は金属機械加工で従業員数4人以下とのこと。

しかし、その3000社はいずれも、リーマンショック等の苦境を独自の技術で勝ち残った“強い、町工場”の11つであり、専門分野に特化した各社の高度な加工技術を“仲間まわし”と呼ばれる独自の連携システムにまで昇華させることで「多品種」「小ロット」「短納期対応」を可能にしており、そこに大田区ならではの独自性と歴史的地域的な付加価値を生み出していると感じました。

大田区では現在、来年の韓国・平昌オリンピックに向け、ボブスレージャマイカ代表に夢を乗せた「下町ボブスレー9号機・ジャマイカスペシャル」の開発サポート、そして2020東京オリンピック・パラリンピックとさらにその先を見据え、イノベーションによる新たなものづくり産業の創造とグローバル市場の開拓に全力を注いでおり、その気迫がこちらにも伝わってくるようでした。


私も、本県経済の振興はもちろん、えひめ国体・大会のレガシー創造、中小企業への多様な支援、人口構成や産業構造の変化に対応したまちづくり等、今回の視察で学んだ成果を県政に反映できるようしっかりと取り組んでまいります。

2017-07-25

経済企業委員会県外視察 ③埼玉県川口市













視察2日目は引き続き、川口市の増幸産業株式会社を訪問。夢の新素材といわれる「CNFに関する取り組み」について調査を行いました。

同社はダイヤモンド以外のあらゆる物質を超微粒化する100年企業で、最先端の摩砕技術により数々の賞を受賞。昨年には栄えある渋沢栄一ビジネス大賞が贈られています。

冒頭、社長が語られた同社創業エピソードには“ものづくり日本”の魂を、社是には中小企業の真骨頂を見る思いがしましたが、話を本題に戻しますと、同社ではCNF製造装置を開発・販売しており、その製造方法や市場の現況、量産化への課題についてお話を伺いました。

CNFは植物繊維をナノサイズにまで解きほぐした状態の素材で、鋼鉄の1/5の軽さで5倍以上の強さを持ち、熱による変形もガラスの1/50程度と小さく、植物由来であるため環境負荷の少ない持続型資源として高い注目を集めている最先端素材です。

経済産業省によると2030年には関連市場が1兆円に達すると予測されています。

本県は森林県としてCNFの資源に事欠くことはなく、加えて全国有数の製紙工業県でもあることから、地方創生の切り札としてその実用化・産業化をめざし、近年その研究開発に余念なく取り組んでいるところですが、用途開発とコストが最大の課題といわれています。

同社によりますと、用途開発による量産化が進めば現在の製造コスト1kgあたり5,000円~10,000円が500円以下に抑えられることも可能とのこと。

そうなるとCNFの普及は一気に広がり、本県にとっても嬉しい悲鳴が聞こえてきそうですが、同時に、最大の課題である用途開発の答は “果たしてCNFは何に取って代わるべきか” という問いと表裏であるとも感じました。

今回の視察成果が、本県経済の振興と発展につなげられるよう今後の活動に活かしてまいりたいと思います。

経済企業委員会県外視察 ②埼玉県秩父市













県外視察2日目。
初めに埼玉県秩父市役所を訪れ、一般社団法人秩父地域おもてなし観光公社の井上事務局長から「秩父地域の観光DMO」についてお話を伺いました。

同公社は総務省の定住自立圏構想のもと、滞在型観光の促進と外国人観光客の増加を目的に、秩父市と隣接4町が協定を結び、平成24年に事業を開始。昨年2月に日本版DMO候補法人として登録されました。

同公社は、「稼ぐ事業」と「公益性のある事業」に立て分け事業を展開しており、稼ぐ事業では、民泊を利用した修学旅行、ふるさと納税者向けの特典ツアー、レンタサイクルが着実な成果を上げているとのことでした。


一方、公益性のある事業では、ガイド先進地をめざした「ちちぶ案内人倶楽部」の設立や西武鉄道とタイアップしたテレビ・映画などのロケ誘致、女性に人気のガイドブック「ことりっぷ」への情報掲載などが挙げられました。

日本版DMOとしての機能を発揮し、秩父地域の活性化に向けたさらなる奮闘に心から期待を寄せたいと思います。

2017-07-24

経済企業委員会県外視察 ①埼玉県川越市










今日から3日間、経済企業委員会の県外視察ということで、初日の本日は埼玉県川越市役所を訪問し、同市が取り組む「インバウンド施策」について調査を行いました。

川越市は都心から北西約30km、人口約35万人の中核市。

江戸情緒あふれる町並みが印象的なこの町では昨年、観光客が過去最高の704万人を達成し、外国人も4割増の過去最多となる17万人を記録。その主な要因について伺いました。

まず、都心から1時間弱という立地性。また、昨年12月に決定した川越氷川祭の山車行事等の「ユネスコ無形文化遺産登録」の話題性やFライナー就航による鉄道利便性の向上、そして、特にアジアを中心とするインバウンドの奏功などが挙げられましたが、それらをリンクさせた形の巧みな誘客作戦に敬服させられました。

顧客インサイトに立てば、首都圏の観光案内所やインバウンド旅行者の人気スポット・ホテル等に配置される「訪日外国人向けフリーマガジンGOOD LUCK TRIP」へのペイドパブリシティ掲載は、極めて有効なメディア選択であったといえるでしょう。その背景に地元西武鉄道の協力があった点も見逃せません。

また、インドネシアに特化したプロモーションもユニークで意欲的でしたし、情報発信の多言語化・デジタル化の取組み、これについては本県も謙虚に学ぶとともに早急な体制整備の必要があることを痛感させられました。

2020年東京五輪のゴルフ会場となる霞ヶ関カンツリークラブを有しこれまで以上に外国人の受入れ環境を整備しつつインバウンド施策に取り組む川越市に大いに学びながら、今回の視察成果を本県の観光振興に活かしてまいりたいと思います。

2017-07-18

7/18マンデー街頭「県内初、高校出前授業」













「皆様、おはようございます。
公明党・愛媛県議会議員の木村ほまれでございます。

 先週は議会日程が目白押しの1週間でありましたが、私は自身の研鑽という意味で、自分が所属しない委員会についてもできるだけ傍聴するようにしております

 今回傍聴した主なものを挙げますと「議員定数等調査特別委員会」。こちらでは、次回2019年の県議選における定数をどうするかについて議論が行われました。

 又、「エネルギー危機管理対策特別委員会」では県における建築物の耐震化の取組みについて、「地方創生産業基盤強化特別委員会」では県の移住定住促進の取組みについて、それぞれ議論が行われました。

 一方、私が所属する「少子高齢化・人口問題調査特別委員会」では高齢者保健福祉と介護保険事業支援の取組み状況について、「経済企業委員会」では愛媛版DMOによる観光振興について審査が行われ、私も種々意見を述べさせて頂きました。

 できれば今申し上げた会合のポイントだけでもお伝えいたしたいのでありますが、あまりにものボリュームになりますので、本日は私の中で先週一番インパクトが大きかった「高校出前授業」についてご報告したいと思います。

 先週11日、NPO法人ネクストコネクション・越智理事長のコーディネートで出前授業が行われましたのは「聖カタリナ学園高校」。私を含め4人の県議が、看護科2年生64名の授業に出席させて頂きました。

 ご案内の通り、昨年18歳選挙権が導入され、高校生が主権者として政治に参加できる時代となりました。

 しかし、当の高校生からしますと“どのように政治と向き合えばいいのかわからない”というのが、私のよくお聞きする声であり、実際のところではないかと思います。

 そんな疑問や不安を解消し、政治をより身近に、自分ごととして感じてもらうべく行われたのが、今回の出前授業で、県内では初めての取組みとなりました。

 始めに越智理事長から、“県議についてどう思うか?という事前アンケートで一番多かったのは「よくわからない」という回答であったが、今日の授業で何か1つでもヒントを掴んでほしいし、主権者としての権利を今後しっかり活かしていって欲しい”との問題提起が行われました。

 そして各議員、自己紹介の後、“議員として具体的にどんな仕事をしているのか?”、“地方議員と国会議員の違いは何か?”といった形で、4人の県議からプレゼンを実施。

 続いて生徒同士、又、生徒と議員の間で「全ての道路に自転車道を整備する」をテーマにディベートが行われました。

 ルールは「自分が県議だったらこのことに賛成か反対か、その理由は何かを述べる」というもので、賛否それぞれに聞き応えがある意見が続出し、議論は白熱。途中私も、生徒からの反論に思わずタジタジとなる場面もありました。

 最後に、最も時間が割かれたのが、生徒から議員への質問タイムでありました。

 「県議の仕事がよくわからない」という生徒たちの本音が飛び交い、時間切れになるくらい多くの質問を頂きました。

 “議員になろうと思った理由は何ですか?”
 “愛媛のために行っていることは何ですか?”
 “選挙のとき、候補者を選ぶポイントは何ですか?”
 “休みの日は何をしてますか?”
 “18歳選挙権についてどう思いますか?”
 “昔と今の夢は何ですか?”
 “収入はどのくらいですか?”などなど。

 時間の関係でお答えできなかったものもありますが、明らかに興味が増した生徒たちの表情、メモの書き取りの多さなどから私は、この質問タイムが生徒たちにとって一番印象に残ったのではないかと感じました。

 同時にそれは、11つの質問に対して4人の県議それぞれが、自身の本音を赤裸々に語ったからだと思います。

 今回「高校出前授業」は、私自身にとりましても本当に貴重な経験となりました。

 私は、18歳選挙権導入の真の目的は、制度の変更を機に政治それ自体が変わること、と考えます。

 政治の側から若者に飛び込み、働きかけていく。その結果、若者の政治への関心と参画が高まっていく。そこが一番重要なポイントであるはずです。

 そのためには、政治を自分ごととする「主権者教育」が今後とりわけ重要になることを、身を持って痛感させられました。

 実際、学校側は、政治の中立性という点でもどうしても無難になりがちで、正直なところ困惑もあるでしょう。

 だからこそ、そうしたスタンスをわきまえた、公選法も十分踏まえた現職議員やNPO、啓発団体を、もっと積極的に活用すべきと思います。

 実際、20代・30代の若者が主催するNPOの授業、主権者教育が多くの高校生の支持を集め、昨年から全国的な広がりを見せているといわれますが、今回直接、生徒たちと触れ合う中でその理由がわかったような気がいたしました。こうした“活きた授業”が全県的に広がることを期待したいと思いますし、私もしっかりと後押しをしてまいりたいと思います。

 最後になりますが、いわゆる地方消滅、全国の自治体の約半数が消滅するといわれる2040年問題があります。これは、今の高校生たちが社会の中核を担う40歳になる頃のお話です。

 確かに人口減少それ自体は避けられないかもしれませんが、地方が消滅するとなると話は違います。そうさせないためにこそ、政治があるからです。

 2040年はもちろんその先の将来にわたって、愛媛が持続可能な私たちのふるさとであり続けるために、今打つべき手は何か、蒔くべき種は何か、しっかりと考えながら、

 そして何より若者の皆様の声を真摯に受け止めながら、未来に対する責任を誠実に果たしてまいりたいと思います。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」

2017-07-10

7/10マンデー街頭「四国新幹線、東京決起大会」














「皆様、おはようございます。
公明党・愛媛県議会議員の木村ほまれでございます。

 はじめに、先週、福岡・大分をはじめ九州北部で記録的な豪雨による災害が発生し、21名もの尊い命が犠牲となりました。心からご冥福をお祈りいたしますとともに、被災者の方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。

 近年の地球温暖化がもたらす異常気象は、突如、私たちがこれまでに経験したことのない大惨事をもたらします。そうした自然災害の脅威に対して今、私達ができること。それは数々の教訓を謙虚に受け止め、日頃から備えを11つ積み上げていく以外ありません。

 また、防災の基本は自助・共助・公助といわれますが、被害を最小限に抑えるにはこの3つをそれぞれ地道に高めていく以外なく、県といたしましても自治体・国と連携を強めながら、ソフト・ハードの両面からしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 さて、既に新聞・テレビ等でご存知の方もいらっしゃると思いますが、先週6日、東京で「四国新幹線整備促進に向けた東京決起大会」が開催され、私も参加いたしました。本日はその概要についてご報告したいと思います。

 大会に先立ち、まず、四国4県や四国経済連合会など46団体の参加により「四国新幹線整備促進期成会」が設立されました。

 設立総会では、四国の4地銀のシンクタンクでつくる「四国アライアンス地域経済研究分科会」が、四国新幹線を活用した四国の地域づくりや経済効果等について今年度中に調査を行い、その結果を情報発信しながら誘致活動を加速させていくという方針が確認されました。

 そしていよいよ、決起大会がスタート。四国選出の国会議員と4県知事、私たち四国の議員、さらに国交副大臣や経団連副会長などの来賓を加え総勢約600人が集結し、四国新幹線誘致に向けたキックオフが行われました。

 四国新幹線については導入反対といった声もお聞きしますが、それ以前に私は、4県とも総じて関心が低いというのが現状であり、まずは関心を高めることが先決問題ではないかと考えています。そこで四国を取り巻く現状と新幹線の導入効果について若干触れてみたいと思います。

 まず、四国を取り巻く現状です。

 昨年3月に北海道新幹線が開通し、これで北海道から九州まで新幹線でつながり、新幹線空白地域は四国だけとなりました。この、四国が取り残された形の地域間格差の拡大は、国土強靭化の点、また地方創生の視点からみてもフェアではありません。命を守るために必要な国土インフラの整備は、国においては公正に行われるべきであり、競争の機会均等の観点からも、地域に対して十分な配慮がなされなければならないと思うのであります。

 次に、四国新幹線の導入ルートです。

 今のところ、松山と高松、岡山と高知をクロスさせ4つの県都を結ぶ形が有力です。

 期成会の前身である「四国の鉄道高速化検討準備会」の調査によりますと、概算事業費は約1.5兆円で、費用便益比(B/C)は1.03、経済波及効果は年間169億円が見込まれるとのことです。ただしこれらはあくまで概算でありまして、現在の基本計画を整備計画に一歩前進させるためには、国による本格調査が必須となります。

 一方、導入の効果につきましては、私たちが最もイメージしやすいのは「移動時間の短縮」だと思います。

 今ですと、松山から東京までスムーズに乗り継いでも6時間以上かかりますが、これが4時間となります。4時間というのはちょうど現在のJR松山~高知間の所要時間で、これと同じ時間で東京まで行けるようになるというわけです

 また、その高知についても54分で、徳島までは1時間で、そして高松には実に42分で到着することが可能になり、四国の4県都がほぼ1時間以内で結ばれることになるのです。

 移動時間の短縮は、四国と全国各地の距離を縮めます。生産地と消費地、工場と市場をより近く、より速く結ぶことにより、コストが下がり生産性も向上するでしょう。

 いうまでもありませんが、本県は農林水産業が基幹産業でありますし、製造品出荷額で四国の44%を占める工業大県でもありますが、四国新幹線の導入はそのいずれにもプラスに働き又、観光ビジネスにおいても交流人口の飛躍的増大が見込まれ、本県経済全体に大きなチャンスをもたらすことは間違いないと思います。

 経済面以外でも、人口集積から見た指標や、災害に対するリダンダンシー(代替手段)の確保、衰退する在来線の維持などが期待されますが、問題は財源です。

 1.5兆円の概算が最終的にどれくらいになるか不透明ですが、現在の厳しい財政状況の中から財源を見出すのは容易ではありません。

 また、整備計画が決定したとしても開通までにはおおよそ40年かかるといわれておりますから、それより先の愛媛・四国がどのような姿になるのかについてもしっかりと見据えなければなりません。

 こうした1つ1つの課題に対し、ビジョンに基づいた現実的な選択肢を提示するのが、政治の極めて重要な役割であります。

 「四国新幹線整備促進に向けた東京決起大会」は、熱気に包まれながら、国に対して①四国新幹線の整備計画への格上げに向けた調査費を来年度予算の中に措置すること、②新幹線建設予算を大幅増額すること、この2つを求める決議案を採択し、閉会となりました。

 構想実現のためには言うまでもなく、地元愛媛の皆様のご理解とご協力が必要です。そのために私は、是非の議論もさることながらまずは、1人でも多くの皆様に関心を持って頂けるよう、そして関心が高まるよう、あらゆる活動を通して対話を進めてまいりたいと思います。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」

2017-07-04

7/3マンデー街頭「質問!目的と期待成果は何か」














「皆様、おはようございます。
公明党・愛媛県議会議員の木村ほまれでございます。

 県議会6月定例会は先週28日、閉会しました。国体準備の影響で非常にタイトな日程でありましたが、その分1日あたりの時間が長く、密度の濃い審議ができたのではないかと思います。本日はその中から、常任委員会で私が行った質疑の一部を報告させて頂きます。

 常任委員会は、原則毎年度ごとにメンバーの入れ替えが行われ、今年度私が所属するのは経済企業委員会でありまして、県庁内2つの部局、経済労働部と公営企業局を所管します。それぞれの部局が行う事業について1年間通じて“常”にチェックする“任”にあたるので、“常任委員会”といいます。

 先週の委員会では、補正予算が組まれている経済労働部をメインに審議が行われました。事業総額は約1.3億円です。

 私はその内、“プロフェッショナル人材戦略拠点運営事業”について取り上げました。

 配布資料によりますと「都市部との連携や働き方改革など地方創生を深化させる取組みを促進し、プロフェッショナル人材の活用を進めることで、県内中小企業の経営革新を図る」とあります。なんかわかったようでよくわかりません。予算額は2,000万円。かなりな額です。

 民間企業の社長さんで、この説明を見てパッと決済する方がどのくらいいるでしょうか。私にはとてもできません。ちゃんとリターンが取れるかどうか、あるいは将来を見越して投資する価値があるかどうか、そこを見極めるのが経営判断であり、その結果には責任が伴います。

 そこで私は、この事業の目的と具体的な内容、そして期待成果について質問を行いました。聞いて答えるを15分近く重ねて事業の概要が見えてきました。

 まず、この事業は「公益財団法人えひめ産業振興財団」への委託事業であること。

 そして事業目的を私なりに要約しますと、①都市部からのUIJターンによる「専門性の高い人材の移住を獲得すること」、②県内中小企業が彼らのスキルを取り込むことにより「成長性を高めること」、この2つです。

 えひめ産業振興財団というのは中小企業庁の管轄となります。

 東京にあるその全国事務局が大都市圏の大企業(アサヒホールディングスや味の素など13社)と協定を締結して、例えばですが、

締結企業にお勤めの本県出身の50代後半でマーケティングに精通された方、財務や商品開発に造詣の深い方など、高度な専門スキルを持つ人材がどれくらいいるか、

その中で“定年を前にそろそろ実家の状況が気になる”、あるいは“これまで培ったスキルを生かして故郷に貢献したい”とお考えの方がいらっしゃるかどうかをリサーチします。

 一方、えひめ産業振興財団では、県内の中小企業が求める人材やスキルといったニーズをきめ細かく吸い上げ、全国事務局に対し情報提供を行います。

 マッチングが見込まれる場合、まずは出向という形で県内企業に関与して頂くなどその専門性を活かした支援を進める流れとなります。

 そのためにはまず、肝心の県内中小企業の方々が本事業を認知せずには始まりませんし、関心を持って頂かないと構想は前に進みません。

 そこで、関係者を中心に“御社の経営課題の解決に又、成長戦略の一環としてプロ人材を活用してみませんか?”といった啓発・触発を図るセミナー開催を2回程度予定しているとのことでした

 これは、少なからずふるさと愛媛にUIJターンしたいと考える方にもプラスであり人手不足の県内中小企業にとってもプラス、正にウィン×ウィン事業です。

 本県では初の試みとなりますが、全国で既に取り組んだ例では15件の実績が上がっている県もあるとのことです。

 ちなみに昨年度、県外から本県への移住者は約400人ですが、その内“職業”を切り口とした移住者は約30人。何もしなくてもこれだけのニーズがあるということは、今回の事業によって就職や雇用の受皿を広げることができれば、この移住者数をさらに引き上げることが可能となると私は考えます。

 以上のような理事者との質疑を通じて、本事業に対する私の期待値は確かなものとなりました。そして最後に、次のような要望を申し入れました。

 「本事業を通じて、ぜひ5人、10人とプロ人材を獲得し、移住につなげ、中小企業の成長に結びつけてほしいと思います。そしてそれが50100人、それ以上の規模に発展するなら、これは正に「愛媛版CCRC」に他なりません。その「CCRC」は企画振興部の所管でありますから、本事業を立ち上げるにあたっては、しっかりと部局間の連携を取りながら「愛媛版CCRC」実現に持っていけるよう取り組んで欲しいと思います。」

 他にもいくつか質問いたしましたが、本日はその内の1つをご報告いたしました。

 常任委員会では所管する部局の事業、つまり税金の使途について各議員様々な視点からチェックが行われます。そのやり取りはこんな感じで行われるのかと雰囲気だけでもお伝えできればと思い、ご紹介させて頂きました。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」