2017-07-31

7/31マンデー街頭「愛媛だけでない、労働力確保の問題」
















「皆様、おはようございます。
公明党・愛媛県議会議員の木村ほまれでございます。

 先週は出張のため2週間ぶりのご挨拶となります。早いもので7月も最終日となりました。明日から8月、1年で最も暑い季節を迎えます。熱中症など体調管理には十分お気をつけ頂き、猛暑・酷暑を元気にお過ごし頂ければと思います。

 さて、県議会では先週、常任委員会の県外視察が一斉に行われました。私が所属する経済企業委員会は、月~水の3日間、本県経済の発展に資するという観点から関東方面4ヵ所に出向き、調査を行いました。

 まず、埼玉県の川越市で「インバウンド施策」について、秩父市で「観光DMO」についてお話を伺いました。又、川口市の機械メーカーでは夢の新素材といわれるCNFの今後の普及に向けた課題について、東京都大田区では日本有数の“ものづくりのまち”の次世代戦略ついて調査を行いました。詳しくはブログに綴りましたのでぜひご覧頂きたいと思います。

 本日は、それらの視察を通して感じた労働力確保という問題について申し上げたいと思います。

 まず、今回伺ったのは関東方面、あるいは首都圏でしたが、そうした地域であっても本県同様、いわゆる少子高齢化と人口減少問題が深刻ということであります。

 今、わが国の既存産業の多くにおいて社員の高齢化やリタイヤが進み、数においても質においても十分補え切れていないという、いわゆる労働力不足、担い手問題が生じておりますが、これは一部の都会を除けばどの県も同様だということをあらためて痛感させられました。

 一般に、労働力とは生産年齢人口である15歳64歳を指しますが、今から約20年前の1995年はその数8700万人、現在は7700万人。1000万人減っているわけですから、どの業界であれ人手不足の感に覆われるのは当然といえます。

 しかし、問題なのは今後、さらなる深刻な事態が予想される点です。将来推計上、労働力の減少が向こう50年間続くことが既に確定しているからです。

 では、この労働力不足という問題を私達はどう乗り越えるのか。

 全国で絶対数が減り続けるわけですから、県外から確保するにも、どこかの県が足りればどこかの県が足らなくなるというゼロサムゲームとなり、抜本的な解決策とはなりません。では移民の受入れはどうかというと、アメリカやイギリスの動向を見ても、これが直ちに現実的な対策になるとも思えません。

 ここで重要だなと私が考えるのは生産性の向上、そして労働力の定義の見直し、この2点です。

 ご承知の通り、産性の向上については様々な指摘があります。その1つ、OECD加盟35カ国の昨年のデータによりますと、わが国の労働生産性は22位。全体の平均値以下です。

 国においても既にこの点に着目し、6月に打ち出された政府の骨太方針の副題を「人材への投資を通じた生産性向上」とし施策を体系化するなど意欲的で、私も大いに期待を寄せたいと思います。

 ただ、この生産性の向上につきましては企業や個人、地方の努力はもちろんですが、私はそれ以上に、ソサエティ5.0を見据えた産業構造の転換や、イノベーションによる新たな需要の創出、抜本的な働き方改革、あるいは海外成長市場を取り込む貿易の枠組みなど、次の日本をどういう国にしていくのかという国の決断にかかる部分が非常に大きいと思います。

 従いまして国会は、政局ではなく、そうした本題に切り込んだ活発な論戦をお願いしたいと思います。

 そして、労働力の定義の見直しについてであります。

 労働力、つまり生産年齢人口は15歳~64歳。15歳というのは中学卒業年齢、そこから65歳以上が高齢者とされてますからその手前の64歳まで、という区分です。

 この65歳以上を高齢者というふうに定義、区分したのは、今から約60年前、国連のレポートが最初と言われます。

 これは、当時わが国の平均寿命が男性63歳、女性67歳でありましたから、まず妥当な区分だったといえるでしょう。

 しかし現在、わが国の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳と、当時に比べ20年近く長くなりました。しかもあくまでも平均ですから、人生100年を生きる方々が今も増えており、今後ますます増えてくるでしょう。

 そうなりますと、65歳は果たして高齢者と言えるかどうか。実際、私の周りの65歳くらいの方を見ましても概ねお元気ですし、お年寄りと呼ぶには少なからず違和感を感じます。

 その意味で、本年1月に日本老年学会が行った“高齢者の定義を75歳以上に見直すべき”という提言は、私は将来に向け投じられた極めて重要な一石と考えます。

 高齢者を年齢で一括りにするのはどうか、75歳という線引きは妥当かという問題はありますものの、仮に働きたい方が働ける環境があるとすればどうでしょう。

 現在、65歳~74歳の人口は約1700万人です。20年後は1600万人、50年後でも1100万人と、この世代は長期にわたり安定的なボリュームで推移すると見られています

 労働力としての可能性には非常に大きなものがありますし、健康でいる限り何らかの社会貢献を望む方も多いのではないかと思います。

 加えて、女性の活躍です。

 “仕事か、家庭か”という、女性にとって二者択一の時代を速やかに終わらせ、結婚しても、出産しても、子育てを終えてからでも、本人の意志と能力により仕事が持続できる、多様な労働を選択できる、そういう社会に変革していかねばなりません。

 つまり、労働力の定義を、今の実態とこれからの時代に合わせた形で見直し、(今は高齢者とされている)60代、70代の方々や、幅広い女性層が、労働力の重要な一角として明確に位置づけられる社会を実現すること、これが、労働力不足克服に向けて私が重要と考える2つめのポイントです。

 視察ではもう1つ、人口減少により国内需要が縮小する見通しの中で、例えば観光、ものづくり産業など、やはり海外市場に成長の活路を見出そうとする戦略も、地域共通の方向性であると実感いたしました。

 今回の視察成果を本県経済の発展に結びつけられますよう、しっかり取り組んでまいりたいと思います。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」

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