2017-12-18

12/18マンデー街頭「来年度の与党税制改正大綱について」
















「皆様、おはようございます。
公明党・愛媛県議会議員の木村ほまれでございます。

今年も残すところ、あと2週間となりました。慌しい毎日が続くと思いますが、どうかご安全に年末年始をお過ごし頂ければと思います。

さて、県議会12月定例会ですが、先週13日に補正予算案など36議案が可決され、閉会となりました。

同じ13日、広島高等裁判所が伊方原発3号機の運転差し止めを決定。

原発の運転を禁じる司法判断は高裁では初めてで、地元紙は早速号外を配布、各紙とも翌朝1面で大きく取り上げられました。

県議会においても、今後の四国電力の対応や県民生活、地域経済に与える影響等についてしっかりと注視してまいりたいと思います。

翌日の14日には、与党から来年度の税制改正大綱が発表されました。

政府はこの大綱に沿って年明けの通常国会に税制改正法案を提出することとなります。

新聞各紙の見出しは、“安易な税収確保”、“増税・個人に照準”、“再分配のさらなる強化”など様々ですが、本日は公明党の主張が反映された主なポイントについてご報告したいと思います。

ポイントの1つめは、中小企業の事業承継税制の拡充です。

今後10年間で多くの中小企業経営者が、引退平均年齢である70歳を超えてまいりますが、既に県内でも、黒字経営にもかかわらず後継者不在のため廃業に追い込まれるというケースが増えつつあります。

こうした事態が広がれば日本経済に深刻な打撃を与えかねず、事業承継支援については待ったなしで対策を講じる必要があります。

そこで今回の改正では、中小企業の世代交代を後押しするため後継者にかかる税負担を大幅に軽減し、今後10年間の特例措置として事業を引き継ぎやすい環境を整備することとしています。

具体的には、中小企業の株式を受け継いだ場合の相続税について課税猶予の割合が現行の80%から100%に拡大されます。

また、これまでは事業を引き継いでから5年間の平均で8割の雇用を維持することが条件で、それが達成できない場合は全額の納付を求められましたが、この要件が緩和されます。

さらに、現在、猶予対象としている「先代経営者から受け継いだ分」「筆頭株主が受け継いだ分」に関しても適用が広がります。

例えば、経営者である父だけでなく母からも株式を受け継いだり、筆頭株主だけでなく複数の子どもが相続したりする場合も猶予できるようになります。

また、廃業時などに支払い義務が発生する猶予分の税負担も軽減し、受け継いだ時点の株式評価額ではなく、廃業時の評価額で税額を計算できる仕組みが導入されます。

ポイントの2つめは、賃上げと設備投資を促すための税制面での優遇措置です。

大企業では平均給与等支給額を前年度から3%以上増やし、国内への設備投資が当期の減価償却費の9割以上の企業が対象となります。

要件を満たせば、給与等支給総額のうち前年度より増えた部分の15%を、支払う法人税から控除。

さらに社員研修など人材投資を過去2年の平均より1.2倍以上に増やした場合は、控除率を5%上乗せし、給与増額の20%分が減税されることになります。

中小企業では、さらに控除率を引き上げます。

1.5%以上の賃上げをした場合、前年から給与を増やした分の15%が控除されます。

さらに賃上げを2.5%以上、人材投資を前期の1.1倍以上に増やすなどした企業は、控除率を10%上乗せし25%まで引き上げられます。

細かな数字がたくさん並びましたが、簡単に申しますと、大企業も中小企業も、賃金を上げ、積極的に設備投資を行った企業にはこれまで以上に税制が優遇されるというしくみといえます。

ポイントの3つめは、働き方の違い
による課税の不公平解消を図るため、会社員の方だけが得られる給与所得控除を減らし、誰もが得られる基礎控除を増やした点です。

この結果、当初の議論では、自営業やフリーランスで働く人などは減税となる一方、年収800万円を超える会社員の方々が一律増税になる可能性がありました。

しかし私たち公明党は、景気や消費への悪影響を抑える観点から中間層に配慮するよう強く主張。

その結果、対象者が850万円超の水準に見直され、22歳以下の子どもや介護が必要な家族がいる方々(約200万人)は増税されないこととなりました。

以上、本日は来年度の与党税制改正大綱のうち、公明党の主張が反映された主なポイントについてご報告させて頂きました。

税制は国のしくみの根幹です。皆様の声がより反映されますよう私も全力で取り組んでまいりますので、今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」

2017-12-11

12/11マンデー街頭「カギは、パスポート保有率」

















「皆様、おはようございます。
公明党・愛媛県議会議員の木村ほまれでございます。

寒さ厳しい週明けとなりました。風邪など召されませんよう、また自転車・お車の皆様は安全運転の励行を何卒宜しくお願いいたします。

さて、県議会12月定例会もいよいよ明後日、閉会日を迎えます。

先週は前半の一般質問で6名が登壇し、防災、観光、教育、産業振興、障害者福祉等について論戦が行われました。

後半の常任委員会では、私は所属する経済企業委員会でいくつかの議案について質問を行いました。

本日はその中から、約4,800万円の補正予算が組まれている「松山-ソウル線の再開」支援についてご報告したいと思います。

ご案内の通り、11/2から韓国LCCチェジュ航空が就航し、松山-ソウル線が約1年ぶりに再開となりました。

韓国から日本への訪問者数は今年、過去最高となる年間700万人が見込まれると言われており、本県にとって今回の路線再開は、正に絶好のチャンスといえるでしょう。

昨年までのアシアナ航空は、残念ながら搭乗率の低迷で無期限運休となりましたが、同じ轍を踏まないためにも、今後インバウンド(本県への入込客)、アウトバウンド(本県からの送客)ともに一定水準を維持することが必要になってまいります。

そこで私は、イン・アウトそれぞれの拡大に向けた取り組みついて理事者に質問をいたしました。

そもそも人口減少が続く本県にとりまして、交流人口の拡大は最も重要な課題の1つであり、その政策の柱となるのが観光振興です。

その中で、消費金額が多いといわれる外国人観光客をどう呼び込むかというインバウンド対策が重要であることは言うまでもありません。

今回のソウル線再開にあたり、私は、言葉の壁への対応や、情報戦略の構築、高度なネットスキルを有する人材の確保などを要望いたしました。

アウトバウンド対策について、県では現在さまざまなインセンティブを付与したキャンペーンを実施しています。

ぜひ成果を上げて欲しいと思うのですが、その一方で私は、もう少し掘り下げた議論を求めました。

それは、パスポート保有率の問題です。

実は、インバウンドとアウトバウンドの関係については、どの国も“こちらから出向くほど、その国からの入込客が増える”という相関があると言われています。

つまり、本県からのアウトバウンドを増やせばインバウンドも増えるという意味で、そのためにはまず、アウトバウンドの前提条件であるパスポートを保有する人を増やす必要があります。

そこで、本県の現状を確認しますと、全国平均より約10%低い13.7%、人数では約20万人ということでした。

この数字は、昨年の松山市の外国人観光客数が約18万人でありますことから、県全体のインバウンドとほぼ見合っていると考えられます。

一方、県では平成30年に外国人観光客数、つまりインバウンド目標を30万人として取り組んでおりまして、アウトバウンドとの相関からいえば、パスポート保有率を最低でも今の全国平均の水準である23%まで引き上げなければならないことになります。こうしたことも、私は検証すべき1つの考え方だと思います。

また、本県のパスポート保有率が低い理由について訊ねましたが、これについては明確な答弁はありませんでした。

私としては、1つには保守的、内向きといわれる本県の風土や県民性の影響があると思います。それをどう外向きに、世界に開いていくかという問いこそが、パスポート保有率の問題の本質と考えます。

例えば、海外への修学旅行や留学の機会、外国の生徒の受け入れ体制、あるいは本県出身で世界を舞台に活躍する方々の体験を見聞きする場面を圧倒的に拡大するといった、

視点と視野を世界へと広げる思い切った取り組みを、教育委員会などと連携しながら、特に人格形成に大きく影響を与える初等中等教育において積極的に取り入れて欲しい、という旨の要望を申し入れました。

委員会ではその他、外国人技能実習生の受入れや、新法成立を受けた今後の民泊のあり方などの論議がありましたが、

いずれも掘り下げていくと、少子高齢化に伴う人口減少やソサエティ5.0といった、これまで私たちが経験したことのない未知なる新時代をどう乗り越えゆくのかという議論に行き着きます。


その答は無論ありません。又、これまでの延長線上にもありません。私たち自身が創り上げる以外ないわけでありまして、私も、県民生活の基盤である本県経済をどう発展進化させていくのか、この大命題について引き続き研鑽と提言を重ねてまいりたいと思います。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」

2017-12-04

12/4マンデー街頭「今治市への獣医学部新設に関する質疑について」
















「皆様、おはようございます。
公明党・愛媛県議会議員の木村ほまれでございます。

12月に入り、寒さが一段と厳しくなってまいりました。一部地域ではインフルエンザの流行の兆しが見られるようです。

また、県内では現在、交通死亡事故多発緊急事態宣言が発令中です。これからの慌しい季節、どうか油断を排しながら、皆さま、健康、無事故でお過ごし頂ければと思います。

さて、先週から12月定例会がスタートした県議会ですが、これまでに6名が登壇いたしました。

本年最大の事業であります「えひめ国体・大会」の総括を始め、活発な論戦が繰り広げられておりますが、その中から本日は、今治市の獣医学部新設に関する質疑についてご報告いたします。

ご案内の通り、本件に関しましてはこれまで、国会においてさまざま論議されてまいりましたが、先月14日、文科省が加計学園岡山理科大学獣医学部の新設計画を認可し、来年4月に開学することが正式に決定。そして同日、今治市から愛媛県に対し支援要請が行われたところであります。

これまでは、国家戦略特区の申請手続きに関する議論、あくまでも国会中心の議論でありましたが、正式に認可がおり開学に向けた準備に入るここからは県としての判断が求められる、そういう局面に入ったと思います。

そうした中、先週は3人の議員がこの問題を取り上げましたが、共通するのは「今治市の支援要請を受け、県は今後どのように取り組むのか?」という論点でありました。

これに対し中村知事からは「今治市の第三者機関の議論を見極め、県の専門的知見も生かして、事業費の妥当性を精査したい」との答弁がありました。

この第三者機関というのは、今治市長が任命した弁護士や公認会計士、感染症が専門の大学教授ら5人で構成された委員会でありますが、

この委員会では、大学校舎などの建設費や、設備機器の単価・数量の妥当性、今治市の補助金交付や土地無償譲渡の適法性等について、専門的見地から審査が行われ、年内を目途に市長に報告するとされています。

従いまして、県から今治市への具体的な支援額や内容につきましては、次の2月定例会(もしくは臨時会)で議論されることになりそうです。

さて、正式に決まった今回の獣医学部新設ですが、全国では52年ぶり、四国では初めての設置となります。

今治市としては40年来の悲願でありますし、県議会としても「獣医師養成系大学の設置に関する規制緩和を求める意見書」を全会一致で採択しこれまで後押しをしてまいりましたので、今回の新設を率直に歓迎したいと思います。

そしてこれを機に、県内の深刻な公務員獣医師不足の解消、鳥インフルエンザ・口蹄疫など感染症の防止や、西日本有数の畜産県でもある本県の安全性の確保といった面から、県民生活により安心が広がるよう取り組んでいかなければなりません。

質疑によりますと、今回新設される獣医学部の専任教員は75人。募集する学生は、6年制の獣医学科で定員140人、4年制の獣医保健看護学科で定員60人とのことで、

順調にいきますと、6年後から毎年約1,200人の定住人口が確保されることになり、人口減少が続く中で地域活性化への期待も大きく膨らんでまいります。

今治市では、今回の誘致にあたり96億円を上限とする施設整備費の補助を既に決定しており、それに見合う経済効果が求められるところですが、同市の試算によりますと、経済波及効果は施設整備で約240億円、学生・教職員による消費支出が年間約20億円とのことです。

そして将来的には、創薬やライフサイエンスなど最先端の学術研究拠点をめざしながら、製薬・食品関連企業、各種研究機関の誘致を図っていくという構想が描かれています。

こうした“企業誘致活動”に関する県の所管は経済労働部になるのですが、一連の質問に対しまして理事者からは

「ライフサイエンス産業は優良分野であり、これまで県として重要なターゲットと位置づけてきた」

「今回の学部新設により、ライフサイエンス産業の開発や研究の現場で活躍が見込まれる獣医療の専門知識と技術を持った人材供給が可能となり、本県の強みとして優位性を持つと期待する」

との答弁がありました。

私は、今回の質疑を通して見えてきた今後の課題について、大きく2つあると考えます。

1つは、そもそもの出発点である公務員獣医師の確保です。

将来にわたって定員数を確保できるのか、卒業後の人材が県内に定着するのかといった懸念に対する対応、受入環境の整備や獣医師の処遇改善などであります。

もう1つは、新産業の創出です。

AIやロボットなど第4次産業革命が進行中の今、そして、ソサエティ5.0といわれる時代の到来にあって、地方を持続可能としていくためには、愛媛の持ち味、県下各地域の強みを生かした“新たな産業と雇用”を生み出すことが極めて重要と私は考えます。

その意味で、新設される獣医学部がライフサイエンスなど最先端の学術研究機関として、知の拠点として、ぜひ新たな産業創出に寄与して欲しいと思います。


私自身、今後、第三者機関による議論を踏まえながら、そして懸念されるさまざまな課題に対し、しっかりと提言を行ってまいりたいと思います。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」