2015-12-08

2015回顧録(8)

9月定例会代表質問より 

①原発再稼働問題について















「公明党の木村誉でございます。昨年夏の広島土砂災害がいまだ記憶に新しい中、今夏も先般発生しました東日本豪雨災害を初め、台風、火山噴火など、甚大な自然災害が相次ぎました。改めて犠牲となられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災者の皆様に衷心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

本県におかれましては、引き続き油断を排し、スピード感を持ちながら防災・減災対策の強化にお取り組みいただけますようお願いを申し上げまして、会派を代表し、質問に入らせていただきます。

まず、原発再稼働問題についてであります。
初めに、国のエネルギー政策に関する私たち公明党のスタンスにつきまして、改めて明確にしておきたいと思います。

それは、原発に依存しない社会、原発ゼロ社会の実現です。同時に、その目指すべき将来は、あくまでも現実的なものでなければならないと考えております。代替となる再生可能エネルギーの普及・拡大、省エネの促進、そして、火力発電の高効率化、この3つを柱に、持続可能な経済社会の構築と発展を両立させながら、徐々に原発への依存度を減らしていくという合理的な道筋をつけゆく中で初めて可能となる、私たちは考えております。

さて、この夏、原発再稼働に関して2つの大きな動きがありました。

一つは、7月15日、伊方原発3号機の安全審査について原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認定し、それを受けた政府から7月17日、本県に対し正式に再稼働の要請があったこと。

もう一つは、8月11日、国内全ての原発が運転停止する中、約2年ぶりに鹿児島県川内原発1号機が新規制基準のもとで初めて再稼働したことであります。

御案内のとおり、国においては、昨年、エネルギーの安定供給、経済性、環境適合性等の観点から、原子力を重要なベースロード電源と位置づけ、原子力規制委員会の新規制基準に適合すると認められた場合には、原発再稼働を進めていくとの方針を明らかにしました。

果たして、7月17日本県に宛てた政府文書もその方針に沿ったものであり、これを受けた中村知事は、7月21日、宮沢経済産業大臣を訪問し、その会談の中で8つの要請を行いました。知事はこれを再稼働の前提条件とはしないとしておりますが、私は、県議会における今後の議論、さらには、再稼働の可否を判断する際の重要な要件になるものと考えます。

先ほど申し上げましたとおり、公明党としては、将来的に原発ゼロ社会を目指しており、伊方原発3号機の再稼働については、何よりも安全性の確保を第一とし、同時に原発ゼロ社会に着実な道筋をつけていくということが重要と考えております。その意味では、今回の8つの要請の中でも、特に伊方原発における廃炉技術研究について着目しているのであります。

御案内のとおり、伊方原発1号機は、間もなく運転開始後38年を迎えます。40年で廃炉という原則に照らせば、あと2年ということになります。廃炉となれば、原発ゼロに向けて一歩歩みを進めることとなりますが、一方で、これまでに伊方と同型の加圧水型原子炉の廃炉実績はなく、本当に廃炉は可能なのかとの不安は拭えません。

加えて、廃炉となれば、最も打撃を受けるのは、立地点である地元伊方町を初め、原発に関連しながら生活を営む多くの方々であります。そうした方々が安心して将来を描くことができるよう、それにかわる雇用や経済環境についてもしっかりと整えていかなければなりません。その意味で、国は加圧水型原子炉に広く適用できる廃炉技術研究を伊方原発において展開されたいとの知事の要請に、私どもは大いに賛同するのであります。

公明党は、40年廃炉という原則は厳格に運用すべきであり、伊方原発1号機については確実に廃炉に向かうことを期待しておりますが、そのためには、先ほども申し上げましたとおり、代替エネルギーの確保はもちろん、地元住民や関係者の方々が抱える生活の不安、廃炉の技術や安全性に対する不安、使用済み核燃料の中間貯蔵や最終処分の見通しに対する不安など、さまざまな不安や同時に横たわる課題について一つずつ払拭していかなければならないと思います。

今回、川内原発が新規制基準のもとで初めて再稼働したわけでありますが、40年廃炉という原則を全ての原発で厳格に適用すると、2030年度の電源構成における原発依存度の目標20ないし22%を大きく下回るため、一部の原発については、特例となる20年延長を既に織り込んでいるのではないかとの見方があります。となると、国はなし崩し的に原発依存社会に戻そうとしているのではないかという疑念さえ浮かんでまいります。

そこで、2点お伺いします。

まず、知事が国に対し行った8つの要請について、9月11日、資源エネルギー庁、日下部長官との面談で回答が寄せられましたが、それについて知事はどのように受けとめているのか、見解をお聞かせください。

次に、2030年度の電源構成の原発依存度20ないし22%という目標設定における40年廃炉の位置づけと、伊方原発1号機を含めた今後の廃炉のあり方についてどのようにお考えか、御所見をお示しください。

そして、さらに申しますと、起きてはならない万一の事故が発生した際に、その責任は誰に帰すのかということが依然として明確になっていない、そうした中での再稼働ということが最も大きな不安材料として指摘されています。法律上、一義的には事故の責任は事業者となるわけですが、福島第一原発における事故の収束、廃炉、汚染水対策、除染、賠償、帰還支援など果たすべき責任の重さは、とても事業者だけで担い切れるものではありません。

知事がこれまで何度も、最終的な責任を持つ総理大臣の言質を国に求めておられますとおり、最後は国の責任ということを明確に打ち出すべきであります。その上で、国と事業者、もちろん地方自治体も含めてでありますが、万一の際の責任と役割について、法制の見直しも含め明らかにする必要があると思います。

福島原発事故以来、今なお国民の半数以上が原発を使わなくて済む社会を望んでおり、直近の各種世論調査でも、国民の過半数が再稼働反対を示している中で、原発に依存しない社会への道筋が曖昧ということでは、地元はもとより幅広い県民の理解は得られないのではないかと思うのであります。

そこで、お伺いいたします。

知事は、万一の事故が発生した際の責任と役割はどうあるべきと考えられているのか、御所見をお示しください。

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