2015-12-16

2015回顧録(16)

9月定例会代表質問より

⑤ふるさと納税について















「ふるさと納税についてお伺いいたします。

2008年度に都市と地方の税収格差を埋めようとして始まったふるさと納税が、近年盛り上がりを見せています。

本年4月からは、個人住民税の特例控除額の上限が2倍に拡大され、寄附先も5カ所以内なら確定申告が不要になるなど、寄附する側にとってのメリットがさらに増す形となりました。加えて、ネット企業の仲介でサイト上でのクレジットカード決済を可能とする仕組みを採用する自治体が急速にふえており、納税者の関心がますます高まっております。

実際、総務省によりますと、ふるさと納税が導入された2008年の全国利用者数は約3万人、寄附総額は約73億円であるのに対し、2013年は、それぞれ13万人、142億円に拡大しているとのことであります。

昨年度の本県への寄附実績を調べますと、愛媛県で7752,656円、20市町合計では6億8,672507円となっており、さらに市町別で見ると、制度開始当初からあった市町間の差が昨年度はさらに拡大し、最も多いのは宇和島市の2億6,8084,571円、最も少なかったのは鬼北町の775,000円という結果でありました。これについて、私は、地方創生の観点から、あるいは自主財源確保という意味においても、全体的な底上げを図るべきであり、その工夫と研究の余地は大いにあると考えるのであります。

そこで、お伺いいたします。
近年関心が高まっているふるさと納税について、県はどのように認識しているのか、また、市町間で生じている寄附実績の格差についてどのように受けとめているのか、御所見をお示しください。

次に、本県の取り組みについてですが、昨年度の775万円という寄附金額は、私はいささか寂しいものがあるというふうに感じております。

県では、ふるさと愛媛応援寄附金と称して、活き活きとした愛顔あふれる「えひめ」づくりなど、4つの政策テーマから選択・寄附できるようにしておりますが、選択しようにも、形容詞が違うだけで、いま一つ具体的な取り組みが浮かんでまいりません。この点は、寄附する側にとっては重要であります。

昨今のふるさと納税急増の背景には、豪華な返礼品の過当競争があると言われております。確かに特産品の知名度アップや地元経済の活性化に資するとはいえ、ポータルサイトであるふるさとチョイスを見ておりますと、どれにしようかなというカタログショッピング気分になります。こうした風潮は、制度の趣旨から逸脱しかねないし、射幸心をあおる競争に陥ってはならないと、いささか危惧を覚えるのであります。

一方、そうした風潮とは一線を画すものとして、広島県神石高原町の取り組みが上げられます。同町では、昨年、犬の保護活動を行うNPOとタイアップし、ふるさと納税を犬の殺処分ゼロを目指す取り組みに活用する制度を全国で初めて実現しました。返礼品といった「もの」ではなく、動物愛護への協力という「こと」、つまり寄附金の使い方が支持を集め、その金額は約2カ月で5,000万円を突破、殺処分対象となる保護頭数も、前年比で25%減少という実績を上げており、その評判がさらにSNSなどを通じて広まり、町への寄附件数も飛躍的にふえたそうであります。

動物愛護の推進という形で政策を打ち出した同町に対し、動物愛護者が寄附という形で後押しをする。町が成果を上げることがそのまま寄附者の達成感につながる。理想的なウイン・ウインの形であります。これに倣えば、本県でも、例えば県獣医師会等とタイアップして猫の不妊・去勢手術を加速させるなどの仕組みは、私は十分実現可能と思いますし、ぜひ検討いただきたいと思うのであります。

そこで、お伺いいたします。

「もの」ではなく「こと」への共感拡大は、ふるさと納税本来の趣旨に沿うものであることから、私は、本県に対する寄附実績を、今後、さらに伸ばすためにも、現在行っている返礼品の充実に加え、より多くの方が寄附したくなるような工夫として、本県ならではの特徴ある事業や地方創生にもつながる事業を選択して寄附できるようにしてはどうかと考えます。神石高原町がNPOとタイアップし、ふるさと納税を動物愛護の推進に活用した全国初の取り組みについての評価もあわせて、御所見をお示しください。

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