2015-12-10

2015回顧録(10)

9月定例会代表質問より

②県人口ビジョンについて















「次に、愛媛県人口ビジョンについてお伺いいたします。

県は、これまで検討を進めてきた人口ビジョンについて取りまとめ、7月23日、その骨子を発表しました。

それによりますと、このまま推移すれば、2060年時点で約81万人にまで人口減少が進むと見られる本県人口を、出生率向上や社会減をゼロにするなどしていく中で、20万人以上上積みし100万人を目指すとのことであります。人口減少に歯どめをかけ、県内活力の維持・向上を目指すという意欲的なビジョンの実現に、私ども公明党も大いに期待を寄せたいと思います。

さて、言うまでもなく、人口の増減は、自然増減と社会増減の総和で決まります。本県の場合、いずれも減少しており、昨年の調査では、自然減が7,130人、社会減が3,512人、合計1万人余りの減少となっています。

人口を下げどめるには、双方の観点から取り組みを進める必要がありますが、私が所属する少子・高齢化社会対策特別委員会でも痛感するのは、その議論の対象となる範囲の広さであります。関係しない部局はないと言っても過言ではありません。

したがいまして、今回の質問は、出生率と移住・定住促進、この2つに絞り取り上げたいと思います。

まず、1人の女性が一生に産む子供の平均数である合計特殊出生率についてであります。

このことは、多くの要因が組み合わさり、簡単に上がり下がりするものではなく、国内外を問わず、成果を上げている事例を見ましても、いずれも10年以上という長いスパンで取り組んでいるものがほとんどであります。その意味では、本県の人口ビジョンにおいて、若い世代の就労、結婚、子育ての希望実現を目指しながら地道に取り組み、段階的な上昇を見込むとしているのは妥当と言えるでしょう。

一方、自然減の抑制あるいは自然増を目指すには、合計特殊出生率が人口置換水準を超えるものでなければなりません。これについて県では、2014年現在1.50である合計特殊出生率を、2040年に人口置換水準である2.07まで引き上げたいとしています。問題は、そこへの道筋をどう描くかですが、それについて興味深いデータがございます。

厚生労働省が2013年に実施した第2回21世紀成年者縦断調査によりますと、独身者のうち、子供は必要ないと考える人の割合がふえる一方、既婚者では、子供は3人以上欲しいとの回答割合がふえており、価値観の二極化が進みつつあると分析しています。結婚も子供も個人の意思によるものであることから、いずれも不要とする個人の価値観に政治が関与する際には慎重さが求められますが、近年ふえている子供がたくさん欲しいという層には、希望する数の子供が持てるような環境を整えるべくスピード感を持って取り組むことが大事であると私は考えます。

そうした観点から見ますと、2人目以上の多子世帯支援を傾斜的に実施していくこと、つまり人口置換水準2.07を視野に入れれば、3人目以上をどう引き上げていくかが施策上重要なポイントとなってまいります。さきの調査では、既婚者のうち、子供を3人以上欲しいという人の割合は46%強、しかし、実際に3人以上いる人の割合は約27%ということであり、私は、このギャップを埋めていくことが出生率向上にとって大きな鍵になると思うのであります。

ここで、少し古いですが、直近ということで2010年の国勢調査を見てみますと、本県における母親が20代・30代の世帯のうち子供が3人以上の割合は約13.5%、直近2014年の出生数、1万399人に13.5%を当てはめますと、約1,400人が3人目の出生と類推されます。

3人目を推奨するために、例えば、子供の医療費や保育・教育費、親の就労支援あるいは現金給付を含め、仮に1人100万円のインセンティブを整えるとして約14億円、これは、財政上の戦略判断次第であり、事業の選択と集中を徹底し、市町との費用負担等の工夫で捻出可能と思われ、3人以上持ちたいとする46%強の方々の希望実現に向けて確かな追い風になると思うのであります。

そこで、お伺いいたします。
県は、2040年の合計特殊出生率2.07への引き上げに向けてどう取り組むのか。私は、とりわけ3人目に焦点を当てた取り組みが重要であり、県人口ビジョンの実現につながっていくと考えるのでありますが、見解をお聞かせください。

次に、移住・定住促進についてであります。
昨年9月に開催された第1回まち・ひと・しごと創生会議において、石破大臣が、地方創生に向け最初に示した方向性が、東京一極集中に歯どめをかけて地方への移住を促進するというものでありました。

昨年8月、内閣官房が行った調査によりますと、東京に在住する50代男性の約半分が地方移住を希望していることが判明。それを受け本年6月4日日本創成会議から本県の松山市、新居浜市を含む全国41地域への移住を提唱する東京圏高齢化危機回避戦略が発表され、今議論となっておりますことは、皆様御案内のとおりであります。

現在、政府においては、元気な50代、60代の方々が地域で働いたり、もう一度大学で学んだり、居住するコミュニティの一員として生きがいを持って暮らすことのできる日本版CCRC構想の検討を始めたところでありますが、若い世代に対しても、大学卒業後、地元で就職、定着してもらえるよう奨学金の返還を支援するための基金の造成を地方に促しているほか、企業に対しては、東京から地方へ本社機能の移転を促す支援措置を打ち出し、政府機関の地方移転についても、今年度中に結論を出す方向で検討を進めているなど、地方への移住促進にこれまでにない本気度を示しています。

一方、我々地方としても、国の方針をただ受け入れるという受動的な態度ではなく、何としてもこの移住促進というモメンタムを取り込んでいくのだという積極性と覚悟が求められてまいります。

和歌山県では、今年度から移住・定住大作戦と銘打ち、若い移住者に最大250万円の奨励金を用意するなど、年間1,000世帯を目標に取り組みを開始したそうでありますが、ここは同じミカン県として負けるわけにはまいりません。

そこで、お伺いいたします。
本県のこれまでの移住・定住施策の取り組み状況と実績はどうか。そして、県版総合戦略においてどのように位置づけ、具体的にどのような目標のもと取り組もうとしているのか、御所見をお聞かせください。

また、一般に、地方から若者が流出するのは、大学等に進学する18歳時、就職する22歳時に多いと言われておりますが、流出に歯どめをかけるためには、特にこの2つの時点を念頭に置いた対策が求められると思います。現在、国では、若者の地域への就職、定着を促進し、かつ地域の中核企業等を担う人材を確保するため、地方自治体と地元産業界が連携し、学生の奨学金返還を支援するための基金を造成するよう促しておりますが、こうした地元企業への就職を促進、支援する取り組みは、若者の流出を防ぎ、地元への定着の流れをつくるのに極めて有効であると考えるのであります。

そこで、お伺いをいたします。

県は、若者の地元企業への就職を促進、支援するためにどのように取り組んでいくのか。国が地方に対し奨学金返還支援のための基金の造成を呼びかけていることも含め、御所見をお示しください。」

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