12月定例会一般質問より
④災害廃棄物処理計画について
「災害廃棄物対策について、お伺いします。
近年、土砂災害やゲリラ豪雨など膨大な廃棄物をもたらす大規模自然災害が頻発しております。本年9月の関東・東北豪雨災害で被災した茨城県常総市では、鬼怒川の堤防決壊により市街地が広範囲にわたって浸水し、水が引いた後の不衛生で悪臭を放つ膨大な量のごみやがれきの処理、路上や空き地への不法投棄への対応に追われ、復旧作業に大変大きな支障をきたしたといわれます。
ご案内の通り、国はこうした大規模な災害に備えるため、地方自治体に対し、仮置き場や処理方法を定めた「災害廃棄物処理計画」の策定を求めておりますが、茨城県と常総市では計画が未定になっていました。予期せぬ災害への対策が十分と言えなかったことは残念ですが、決してこれは同県に限った問題ではありません。
本年、環境省が実施した調査によりますと、災害廃棄物処理計画の策定は、昨年度時点で、都道府県においては約2割、市区町村においては約3割に留まっている状況とのことであり、本県におきましても、特に市町では策定が進んでいないと聞いております。
現場からは、災害廃棄物はさまざまなごみが混ざり合っており、処理が複雑で難しいことから、処理計画づくりのノウハウや人材が不足しがちな自治体ではなかなか策定が進まないといった声も上がっております。
折りしもの本年8月6日、東日本大震災等の教訓を踏まえ、切れ目なく災害対策を実施・強化するための「廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律」が施行され、その翌月、国においては「災害廃棄物処理支援ネットワーク」を発足させました。
環境省が事務局となる同ネットワークは、自治体関係者や民間の事業者団体、研究機関などで構成される組織で、災害時には、廃棄物を処理するための技術的な助言を行うほか、平時には、自治体の処理計画の策定を支援する役割が期待されております。
県の地震被害想定調査では、南海トラフ巨大地震が発生した場合、がれき等の災害廃棄物が約1,734万t、津波堆積物が約323~686万t発生すると想定されています。合計すると2,000万tを超えるその量は、県内の家庭等から排出される一般廃棄物約51年分に相当するほど、膨大な量となります。
一刻を争う被災者の救助・救出や、災害後の復旧をスムーズに進めるためにも、平時のうちに、県と市町において実効ある災害廃棄物処理計画を策定し、県と市町、及び市町間の連携体制を整備することが重要であると考えます。
そこで、お伺いします。
9月に発足した災害廃棄物処理支援ネットワークを活用しながら、県及び市町の災害廃棄物処理計画の策定を加速するとともに、県と市町、及び市町間の連携体制を速やかに整備すべきと考えますが、ご所見をお示しください。また、本県及び県内市町の災害廃棄物処理計画の策定状況と今後の見通しについても併せてお聞かせください。「
<答弁要旨:県民環境部長>
「近い将来発生が危惧される南海トラフ地震をはじめとする大規模災害時には、災害廃棄物が大量に発生し、早期復旧の大きな阻害要件となることが懸念されるため、予め県及び市町において整合の取れた「災害廃棄物処理計画」を策定し、災害に備えることが極めて重要と認識している。
このため、現在、県では、国の「災害廃棄物対策指針」を踏まえ、災害廃棄物処理支援ネットワークの構成団体メンバーや県・市町の関係職員等で構成する「県災害廃棄物処理計画実務専門者会議」を設置し、今年度末を目途に、市町間の連携や県と市町の役割分担、民間事業者等との連携方策等を盛り込んだ「県災害廃棄物処理計画」を策定するとともに、市町では国指針に基づく計画が未策定であることから、併せて、スムーズな計画策定を支援するガイドラインづくりを進めているところである。
県としては、これらの計画等を策定後、速やかに市町に提示し、必要に応じて「災害廃棄物処理支援ネットワーク」も活用しながら、全市町が早期に計画を策定できるよう助言・支援を行い、本県の地域特性を踏まえた実効ある、「オール愛媛」の災害廃棄物処理体制が平時のうちに確立できるよう努めてまいりたい。」
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