2008-08-07

やるべきこと、やっているか、やれているか

終日、県民相談対応。

積ん読、の中から、
日経ビジネス(2008.7.28)を、読んだ。

“消費税の年金財源化に落とし穴”、という、
東洋大学・髙橋洋一教授の、記事である。

私が、髙橋教授を初めて認知したのは、
著作の、「さらば財務省!」によってであった。


なんとユニークな官僚なのだろう、と思ったし、
きわめてロジカルで、腑に落ちる論説の人、と思った。

そのベストセラー上梓後、一躍、時の人となり、
今では、お茶の間で拝見することも多くなった。

ので、世間の認知の仕方は、きっと、
教授、もしくは、コメンテーター、ということなのだろう、

が、私の脳裏では、やっぱり第一印象が支配しており、
私にとっては、だが、今回の記事も、腑に落ちた。

地ならしというか、外堀を埋めるかのように、
じわじわっと巻き起こってきた、消費税増税の議論に対して。

それはそれとして当然ながら、可だが、
それと年金を結びつけるのは、不可だ、と。

つまり、髙橋教授の指摘は、
年金財源としての消費税増税は筋が違う、である。

なぜか。
地方分権に逆行するから、だ。

その仮設立て、に脱帽するし、
腑に落ちるというのは、その、課題の斬り方、である。

中央集権か、地方分権か、
ここが、最初のイシュー。

これについては、
国の運営の方向性に関する結論は、既に出ている。

いうまでもなく、地方分権であり、
この間、法整備も着々と進めてきたし、

先日も綴った通り、政府諮問機関のビジョン懇でも、
2018年に道州制を導入すべく取り組みを加速している。

が、だ。

霞が関の本音は、もちろん、NO、だ。
当事者として何が起きるかを考えれば、容易に想像が、つく。

押し寄せる地方分権の流れには逆らわず、しかも骨を抜き、
結果的に、ちょっとだけ地方分権、で、シャンシャン、

というのが、
権力を手放したくない官僚たちが考えるストーリー、

と、よくいわれるが、その通りであろう。

記事に話を戻すと、髙橋教授の説は、こうだ。

国と地方の役割を明確にした上で、
地方分権が進展・完了したとしても、

年金は、国が運営すべき制度である、
と、ここが、2つめのイシュー。

一方、消費税は、所得税や法人税などの国税の内、
収入安定性の点からも、地域偏在性が少ない点からも、
地方への税源移譲が最も適している、

と、ここが、3つめのイシュー。

イシューをつなぐと、

人材・権限・財源、を地方に移譲する、
地方分権は、喫緊の、実現課題である。

その移譲財源のうち、
消費税は地方に移譲すべき税源であり、

地方分権後も国の運営で行うべき年金の財源は、
国税・保険料という枠組みの中で議論すべきだ、

となる。
賛成、である。

年金ばかりではない、社会保障費の増大もまた、
消費税増税の論拠として高まりつつあるが、

その前に国は、やるべきことがある、のだ。

それについては幾度も綴ってきた通り、
なので触れないが、

年明けから今日まで、
2,000名を超える方々との対話で、

私が感じた、叫びにも似た、庶民の怒り、を、
どうすれば、安心と信頼に変えられるのか、

今、国が最も注力すべきは、その1点であり、
おのずと、消費税増税とは別の議論、となろう。

国は、やるべきことを、やっているのか。
私も、やるべきことを、やれているのか。

自他ともに、常に、問いながら。

記事に触れ、
政治の落とし穴に陥らないよう、研鑽を怠るまい、と思う。


0 件のコメント:

コメントを投稿