2018-03-26

3/26マンデー街頭「祖谷の古民家に欧米人が続々、について」

















「皆様、おはようございます。
公明党・愛媛県議会議員の木村ほまれでございます。

先週は県内の小学校、大学・短大・専門学校などで卒業式が行われ、来週からはいよいよ新年度の幕開けとなります。

入学や進学、就職など新生活を始められる方、人事異動や転勤など新たなステージに進まれる方など、年度初めの4月は正に希望あふれる新出発の季節です。皆様にとりまして、新年度が素晴らしい1年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

さて、県議会は先週、2月定例会が閉会し、私も次回6月定例会に向けての活動を開始しました。

3/22-232日間、観光産業振興議連の理事として徳島県での視察研修に参加してまいりましたので、本日はその概要についてご報告したいと思います。

初日は、徳島県三好市にある県庁舎を訪問し「にし阿波~剣山・吉野川観光圏の取組み」についてお話を伺いました。

同地域では12年前から、三好市を含む22町で1つの圏域を形成し一体となって観光客誘致に取り組む中、様々な成果を生み出してこられたのですが、私が最も注目したのは「外国人観光客、いわゆるインバウンドの急増」です。10年前に比べて外国人宿泊客数が25倍へと急増しているのです。

その要因は何なのか、様々な角度からお聞きしました。

説明によりますと、もともとは宿泊施設や飲食店など事業者がそれぞれに情報を発信し観光客を取り込み、それぞれの商品・サービスを提供していたそうです。

実際、多くの地域では今もそういう状況があるわけですが、

にし阿波観光圏では10年来の議論の当初に「2市2町の圏域が一体となって観光客を呼び込むためには、旅行会社や観光客に対するワンストップ窓口が必要」との認識を共有し、観光地域づくりのプラットフォームを設立。

そして、地域内の魅力ある滞在プログラムを集め、個別バラバラではなく一体感ある情報として、ターゲットに発信。

そのプラットフォームは現在、日本版DMO「そらの郷」へと発展し、体験型教育旅行の誘致や日本農業遺産、世界農業遺産の認定取得による観光地域づくりなど、着実に成果を上げ続けながら今に至っているとのことでした。

本県では昨年、愛媛版DMOが設立されたばかりですので、今後の本格的な機能の発揮に向けて大いに参考にしてまいりたいと思います。

続く2日目は現地視察ということで、桃源郷・祖谷の山里の1つ、「落合集落」を訪問し、(株)ちいおりアライアンスの井澤社長から「茅葺き民家ステイの運営」についてお話を伺いました。

同社では「祖谷をはじめとした山村集落の暮らしや人々に新たな価値を与え、その価値を海外を含めた多くの人々と共有し、その結果として、ここにある美しい景観や伝統的な生活様式を持続可能なものとして残していくこと」をミッションとしており、

具体的な取組みとして、年々増え続ける祖谷の空き家を地域資源として捉え直し、茅葺きの古民家を利用した宿泊事業を柱としながら、

地元食材を使った郷土料理の提供や、シンポジウムや芸術・音楽イベントの開催、また、祖谷ならではの体験プログラムの実施など、訪問者(観光客)と地域の方々との交流が図れるような事業を推進しています。

そして驚かされたのは、茅葺き民家を訪れる観光客の半分が欧米人であることです。

それには理由があります。まず1番に上げられるのが、アレックス・カーさんの存在です。

アレックスさんは東洋文化研究家として有名で、同社の役員であり、この事業をプロデュースした人物ですが、今から40年以上前、当時大学生の時に全国各地を訪れる中、日本の原風景ともいうべき「祖谷」に惚れ込み、以来、著作などを通じてその魅力を全世界に発信してきたのだそうです。

ですからアレックスさんの読者である欧米人にとっては、「祖谷」はとてもシンパシーの感じられる場所でもあったといえるでしょう。

しかし、茅葺き古民家のある「落合集落」には公共交通機関がありません。従って交通手段は車ということにならざるを得ないのですが、それにしても道幅も狭く、崖に沿いながら延々くねくねと続き、とても不便です。

そうした奥深い山村集落に欧米人がどのようにしてやって来るのかお聞きしますと、ほとんどの訪問客はネット情報を元に自力でレンタカーを運転し、あるいはタクシーを借り上げて来られるのだそうです。

では、そこまでして「落合集落」に来られる彼らの目的は何なのか、井澤社長にお聞きしますと、

平家の落人伝説が今も残るような、日本の原風景ともいうべき奥深い山里で、茅葺きの古民家をまるごと一棟借り切って、土間や縁側や囲炉裏など、古き日本の趣きある空間に浸りながら、数日間かけてのんびりと時を過ごすためなのだそうです。

さすがにヨーロッパやアメリカなどバカンス大国には旅に関する目の肥えた観光客が多く、滞在期間、消費額ともケタ違いです。私たち日本人の観光スタイルとは大きく異なることを痛感させられました。

また、茅葺き民家事業を進めるに際しまして、予め宿泊単価を高めに設定し「ここでの体験価値がわかる方にだけ来て頂けるよう富裕層にターゲットを絞った」という点も奏功の一因とのことでありました。

おかげさまで非常に貴重な現場を体感することができました。今回の視察を通して、観光の分野は今すごいスピードで進化を遂げつつあるというふうに感じました。

今後は、DMOを核とした戦略的な機能と体制の構築はもとより、地域資源を捉え直す上でも、自治体自身や地域自体にマーケティングセンスや経営マインドが必要不可欠であり、それなくして地域間競争に勝ち残ることはできない、そのように思い知らされた2日間となりました。

私自身、絶えざる進化ということを念頭に、本県のさらなる観光振興に向けしっかり取り組んでまいりたいと思います。
今週もどうぞ宜しくお願い申し上げます。」

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