3/27福岡県の北東に位置する人口約2.3万人の福智町を訪問。
「図書館総合展2017フォーラムin福智町~地方創生を拓く町立図書館の未来~」
について視察しました。
地方議員として、この地方創生というテーマは、
決して念頭から消えることのない問題意識。
全国の先進事例やユニークな試みにはどうしても敏感になります。
図書館で地方創生?
なんで図書館?
そんな疑問の謎解きに伺ったのですが、その答、私の解釈については
来週のマンデー街頭で報告したいと思います。
以下は当日のメモです。宜しければご参照くださいませ。
■講演「公立図書館の機能進化と地方の持続性」
(宮脇淳/北海道大学大学院法学研究科教授、同公共政策大学院教授)
○自治体の環境が管理から経営へ大きく変化している。
○公立図書館も地域の経営戦略としての質的機能が求められるようになった。
○公立図書館のサービスは大きく「学校図書館」と「一般公立図書館」に分類されるが、「ふくちのち」は後者であり、福智町の純粋な公共財だ。
○自治体経営では超少子高齢化やグローバル化、情報通信革命等による社会の変化への対応が求められており、公立図書館もそれに資するよう進化しなければならない。
○経営とは限られた資源を有効に活用し、価値の創出と事業の持続を図ることだが、公立図書館も従来の管理目的から価値を生み出す経営に進化しなければならない。
○地域において何を実現するのか、そこに公立図書館の目的がある。
○見える化を図り、利用者だけでなく住民全体へ開かれた図書館なるには、目的と目標を混同しないマネジメント手法が必要だ。
○目的とは最終的に実現する姿。目標とは目的に到達するための段階的ゴール。
○福智町は「ふくちのち」政策で何をめざし、何を実現するのかということを、住民に対して認識、理解、納得、行動、参加というプロセスで波及させてほしい。
○公立図書館のあり方を今こそ見つめ直し、地域を進化させる拠点とすべきだ。
○進化とは継続的な変化。過去と断層をなすものではない。
○これからの公立図書館は、書籍等を単に貸し借りする場に止まらず、情報集積と情報伝達のハブとして、又、基礎自治体ならではの細やかなメッシュ情報の拠点として、さらにはコミュニティやアソシエーションの場として進化してほしい。
■講演「設計者からみた「ふくちのち」」(大西麻貴さん/o+h共同主宰)
○施設を設計するにあたり、「ふくちのち」が果たすべき役割を考えた。
○1つは、新たな文化・教育の拠点としての図書館。智の拠点。
○町民の必要とする資料や情報を的確・迅速に提供することはもちろん、町民が持っている知恵や経験を分かち合い、ネットワークを広げる機会を設け、そこから新しい価値を生み出せる場として機能させること。
○もう1つは、ここで培われた時間を感じる拠点としての歴史資料館。地の拠点。
○福智町エリアで培われた歴史を学び、未来へと伝承する場として、また、ここから生まれる出来事をアーカイブしていく場として、さらに、広く発信する観光の新たな窓口として機能させること。
○智と地が交わる場を生み出すことにより、かつての赤池町・金田町・方城町の3つの町・町民が一体となって、未来に伝えていきたい「福智の地/智」を考え、伝承できる場を生み出すことをめざし設計した。
■講演「「ふくちのち」を生み出したもの」
(鳥越美奈さん/福智町立図書館・歴史資料館「ふくちのち」館長)
○私は「人は記憶に残っていること、場所、人への想いは、年を重ねるごとに強くなる」と考えているが、そうした想いは地域活性化の源となり、シビックプライドにつながる。
○現代における図書館歴史資料館は、まちの拠点としてそのような志をも育てる施設へと成長している。
○「ふくちのち」で、人と人を結んだり、人との知識をつなげたり、さまざまな体験学習を重ねたり、私は町民の皆様と一緒に「福智町の歴史」を刻みながら、このまちの未来をつくっていきたい。
■講演「なぜ「ふくちのち」なのか~教育行政への考えと思い」
(嶋野勝/福智町長)
○合併前の赤池町は財政再建団体で、3町合併により福智町となった。2年前に町長に就任し目指したのは、小さな拠点づくりと町のブランド化による地方創生だ。
○その核となるのが「ふくちのち」。旧3町の保管書籍は22,000冊。その内、使えるのはたった10,000冊であった。隣の糸田町が32,000冊、添田町が47,000冊であるのに比べて大きく見劣りする状況であった。
○町長就任時、福智町は、子どもたちの学力低下が顕著、歯止めのかからない人口流出、生活保護世帯の増加という深刻な課題を抱えていた。
○そのため、学力向上支援、読書推進、定住促進、就労支援の取り組みに重点をおいて取り組むとともに、私の信念である「まちづくりは人づくり」の実現を考え合わせた結果、だからこそ図書館・歴史資料館が必要と決意。旧赤池庁舎をリノベーションし、まちづくりの拠点「ふくちのち」の創設に向けて動き出した。
○設計も館長も公募し、結局、町外からの起用となったが、地元のしがらみや議員の圧力など抵抗や反発は並大抵でなかった。
○ひたすら町民に対して説明に回った。誰も説明会に来ない日もあった。
○就任以降、観光振興に注力する中、ふるさと納税が思いのほか成果を上げた。2年目に11.6億円、3年目に13.2億円。これは町長として新たに生み出した財源だから、これを使わせてほしいと訴え、地方創生先行型の補助金も活用し、4億円強の「ふくちのち」の予算化に成功。
○おかげさまで、今月、無事OPENに漕ぎ着けたが、ここからがスタート。「ふくちのち」が町づくりの小さな拠点となり、多くの人を育て、その人たちによって福智町の創生が実現できるよう引き続きがんばってまいりたい。
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