「皆様、おはようございます。
公明党・愛媛県議会議員の木村ほまれでございます。
県議会では先週、3つの常任委員会が開催され、当初予算案の事業内容について審議が行われました。
私は今年度、農林水産委員会に所属をしておりますが、新年度の農林水産関係の予算は348億円で、県の総額6,358億円に占める割合は5.5%となっています。委員会では、この348億円がどのように使われるのかということについて2日間かけて審議し、その膨大な事業案1つ1つについて質疑を行います。
今朝はその中から、担い手対策に関して私が行った提言についてご報告いたしたいと思います。
この担い手対策につきましては、農業、林業、水産業ともに、様々な事業が盛り込まれております。
例えば、えひめ次世代ファーマーサポート事業。これは、
JAが行う新規就農者の確保や定着に向けた取り組みを支援するもの。又、意欲ある畜産担い手応援事業は、畜産関連施設の新設や改修、家畜の導入などに対する支援であり、林業については外国人を受け入れるモデル事業、水産業ではUIJターンによる新規漁業就業者の定住促進に向けた支援、というふうに、実に盛りだくさんある中で、私がまず訴えたのは、最大の担い手対策は所得の向上である、という論点でした。
そして、所得向上を実現するためには、農林水産とは違う視点、特に、経済の視点を取り入れた取り組みが不可欠であり、具体的には県庁内の経済労働部、営業本部、場合によっては民間も含め、農林水産以外が持つビジネススキルやノウハウ、情報を、その人事も含めて取り込み活用してほしい、と要望しました。
所得の向上が最大の担い手対策とする根拠は、付加価値額、いわゆるGDPという尺度にあります。これで見ますと、愛媛県の直近のGDPは約4.8兆円。これを産業別に、そして1人あたりで計算しますと、第一次産業は200万円、第二次産業が763万円、第三次産業が811万円となります。
農林水産業が生み出すGDPは、第二次産業の約1/3、第三次産業の約1/4。これでは、いくら対策を講じても、なかなか第一次産業の担い手は集まらないのではないか、というのが1点。
そして、2点目として、担い手対策は、短期・中期・長期に分けて戦略を構築すべきということです。例えば繁忙期のみかんアルバイターのような対策は、短期的な施策であり、
地域や生産品目によって異なる現場ニーズに対し適切な対応が求められます。中期的、これは10年から20年くらい先ですが、この時期になりますと、現在7割以上を占める65歳以上の農業従事者の多くがリタイヤを迎えられます。ということは、中期的戦略としての担い手対策は期限付きでなくてはならないということであり、私はこの時間との戦い、勝負勘を、農政関係者はもっと強く持つべきと思います。
そして、長期的に見ますと、2060年の本県人口は100万人を切り80万人台になる恐れさえある中、産業間の労働力確保競争は今後ますます熾烈にならざるを得ないわけで、
今のGDP水準、所得水準のままでいきますと、第一次産業が極めて深刻な状況に追い込まれることは必至と思われます。従いまして、中長期的に見た場合、所得の向上というのは担い手対策の大前提でなければならないのです。
では、現在の第一次産業の1人あたりGDP200万円を400万円、600万円と飛躍させるためにどうするか。これは既に様々な取り組みが行われておりますが、いわゆる6次産業化、これに尽きると思います。
例えば、南予はマダイや真珠など海面養殖業で日本一を誇ります。そして養殖の利点は何と言っても、計画的に安定供給ができること。それを6次化するということは、マダイ本体をこれまで通りそのまま売る、に加えて、商品を変える、客を変える、売り方を変える、という発想から、回転寿司チェーンとマッチングできれば、マダイを加工することで二次産業、流通に乗せて三次産業、各野で新たな付加価値が生み出せます。
又、八幡浜などいわゆる八西地域は、日の丸みかんなど高級柑橘の一大産地です。今、農林水産省に申請している「南予の柑橘農業システム」が日本農業遺産に認定されれば、間違いなく全国的に知名度がアップします。そして、観光にも大きなチャンスが生まれます。観光×南予の柑橘農業システムという視点で見直しますと、繁忙期のみかん摘みアルバイトだけに終わらせるのではなく、段々畑のオーナー制度を導入したり、サイクリング振興とリンクさせたり、西予市のジオパークと連動させるなど、今までなかったコラボにより、
今だけ、ここだけ、あなただけ、といった南予ならではの感動体験を生み出せるかもしれません。
高級柑橘だけでは収穫量の限界がありますが、勝負の土俵を変えれば今まで以上のGDPを創出することは十分可能、
と私は考えます。
付け加えますと、今後特に、第4次産業革命といわれるAIやIOTなどのテクノロジーの活用は、生産性を含め、第一次産業の付加価値向上に向けた最大のカギになってくると思います。
今、県全体でいえば、第一次産業のGDPは約1,000億円ですが、農林水産業の6次産業化、別の言い方をすると、イノベーションによって、これを倍増させることは十分可能ですし、そうした観点から、担い手対策のさらなる充実を図ってほしいと要望いたしました。
本日は、先週行われた農林水産委員会での私の提言についてご報告させて頂きました。
4月からは委員会の所属も変わると思いますが、どの分野となっても、県政発展に向けた提言をしっかり行ってまいりたいと思います。
県議会は今、本題とは違う部分で注目されておりますが、2月定例会もいよいよ17日で閉会となります。本分を見失うことなく集中して、最後まで審議を尽くしてまいります。」
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